持つべきものは朋

㈱エンビジョン 代表取締役社長 COO/ミッション:「英語が当たり前に話せる世代をつくる」/学校向けオンライン英会話事業/外国語サービス事業/人材派遣事業

未来の営業職はすべてコンサル化する?!

■機械によって代替されうる「しごと」

数年前に発表され、教育業界に限らず様々な分野で話題となり、現在でもあらゆるところで引用されているのが、英オックスフォード大学でAI研究等をしているマイケル・A・オズボーン准教授が発表した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか(原題:"The future of employment: how susceptible are jobs to computerisation?")』という論文です。

http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

 

ざっくりいうと、702種類の職種について色々と試算してみたら、現在アメリカで働いている47%の人たちの仕事が機械によって自動化されるリスクにあるよ、ということ。その中でも、なくなる確率が高い職業として、「テレマーケター」「訪問販売員」「(ショップ等の)店員」などの接客販売系、そして「リテール営業」「(自動車などの)部品営業」といった営業職系も含まれています。

 

日本版については、今月頭に野村総研が報道発表した内容が話題になりましたが、「日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高いと推計」されています。

https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/news/2015/151202_1.pdf

 

では、未来の営業職はどうなるでしょうか?

 

 ■「モノ売り」から「コト売り」へ

営業職全般で言えば、
・顧客が何かを買うときに、商品そのものが魅力を語る余地が大きい(特に有形商材)
・商品の単価が少額なもので、意思決定までに顧客が必要とする情報が限定的(商品の基本情報、口コミ 等)
・単純な商品情報の比較がしやすい(家電、ネット回線 等)
・顧客の基本情報・購買傾向等をベースにした分析・レコメンドが容易
な分野については、機械への代替可能性が高いといえます。
 

BtoB営業についても、有形・無形を問わず、単純に商品について説明をし購入してもらうというこれまでの営業の役割自体がメインではなくなる代わりに、自社の商品・サービスを通じて顧客の抱える課題を解決することが大部分を占めるようになるでしょう。

 

 ■「コト売り」のコモディティ化?!

一見語り古された話ですが、大事なのはここからで、「モノ売り」から「コト売り」が主流となり、それが当たり前の環境になったとき、今度は「コト売り」そのものがコモディティ化しうるということです。

 

単純に「自社の商品・サービスを使うとこういう課題を解決できますよー」だけではだめで、顧客が見えていない問題を発見し、課題を設定し、解決に向けた施策を一緒に考えていく、しかもそれを継続的にデータを取りながら軌道修正をしていく【コンサルティング】業務が必要になってきます。

これらの業務を行う上では当然モノの対価ではなく、サービスの対価として売上が発生するようになり、介在するコンサルタントの質(コミュニケーション能力、プロジェクト推進力、課題解決力 等)が比較検討される未来が来るのではと思っています。

■未来の営業職

そもそも、「営業」って、「営利を目的として事業を営むこと」であり、物を売るという行為は限定的な意味になります。事業環境の変化に伴ってこれまでの営業の役割自体も変化をし、「営業職」という言葉そのものが「コンサルタント」に置き換わる時代が来るかもしれません。

 

すでに一部の業界では始まりつつある「営業職のコンサルタント化」を認識したうえで、機械やAIの得意な領域の力を借りながら、人間ができる顧客への価値提供ってなんなのかを突き詰めて考え、試行錯誤しながら実践していくことが必要なんだろうと思う今日この頃です。

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